▼仕事を辞めて旅に出る
30歳にもなって夫婦で長期間の旅行にいけるものなのだろうか？誰もが思う疑問だと思う。
そういう私も実感が持てないでいた。クリアすべき大きな問題は 2つだと思う。
「仕事」と「お金」だ。

今の日本の状況ではいったん社会人の枠に入ってしまうと、そこからリタイアすることは、
イコール「まともな社会人の道」からのドロップアウトを意味しているように思う。
だけどそれは「働き続けること」「キャリアを継続させること」に価値がおかれているだけのことだ。

この1年で淳二と仲良くなった多くの欧米人はみな「働き続けること」に価値を置いていないように感じる。
それもまた、人生のひとつの選択肢なのだ。

一生をかけて取り組みたい天職に出会えた人はラッキーだ。
いよいよ脂ののり始める30歳で、世界を見たいなどと思わないはずだから。

それでも私たちは、ほんの少しの経験を積んだ今、地球をじっくり見てみたいと思ってしまった。
思ってしまったら、後悔しないように出かけるしかない。

それは自分の中に新しい選択肢をひとつ増やすだけの作業であり、
ちょっとの勇気でできることなんじゃないかと脳天気にも思うのだ。

▼お金はいったいいくら必要なのか
「いくら貯めたわけー？」

これもまたよく聞かれる質問だ。
目標金額は世界を一周している他の夫婦のホームページを参考に決定した。
どうやら夫婦ふたりで約400万円が相場じゃないだろうか。

意外に安く行けるものなのね…。

私も正直そう思った。
しかし、貯めるとなるとなかなかハードルの高い金額だ。
おまけに実際の貯金期間は約2年間だ。
三重県に帰ってきてからの私はフリーランスの立場で仕事をしていたので、
毎月いくらという計画的な貯め方はできなかったが、毎月使う最低金額だけ設定して
余った分をすべて貯金に回す、という方法で何とか400万円の目標を達成した。
夫・淳二の分担分は、帰ってきてからの当面の生活費100万円。こちらも滑り込みで達成となった。

500万円というと何が買えるだろうか？
良い車を買ってしまえばそれで終わりだ。
マイホーム購入なら頭金にすらならないかもしれない。
日本で生活していたら、生活費としてあっという間に消えてしまうだろう。
それなら地球一周旅行はやはり意外に安い買い物なのかもしれない。

美味しいものと経験にはお金をかけて、移動と宿はケチって旅しよう。
それだけが私たち夫婦の旅の決め事だ。