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旅のアレコレ
旅の途中で感じたアレコレを、夫婦入り乱れてのコラム形式でお届けします。
「日記」には載せきれなかったネタもアレコレ登場しますヨ!
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◆氷河にロマンを感じる[淳二筆 2005.03.06]
フィッツロイを中心とする今回のトレッキングで、僕は完全に氷河好きになってしまっていることに気がついた。アラスカとここパタゴニアで有名な氷河から名もない氷河まで数々のそれを見てきたが、その素晴らしさにはいつも心を動かされている。トレッキングマップを見ては「きょうはここの氷河をこの方角から見るということは、こりゃスゴイ景色が期待できるな」なんて予想するのも楽しかったりする。何日もかけて歩き、いよいよ氷河が目の前に!というポイントまで来るとワクワク感が抑えられない。大好きなミュージシャンの来日が決定し、チケットを苦労して手に入れいよいよそのコンサートが始まる、その時のドキドキ感によく似ている。
トレイルを歩いていると突然「どーん」と登場する氷河もあれば、一歩一歩近づいてくる氷河もある。氷山を浮かべる湖を持つ氷河もあれば、氷河の先から川を造っている氷河もある。規模の大きいものになると氷河から氷河へと流れ落ちる、まるで支流から本流へ流れ込む川のようなものもある。逆に規模の小さいものになれば、山の斜面に申し訳なさそうにへばり付いているだけの氷河もある。びっくりするほどの青色をしているものもあれば、すっかり土がかぶって地面と見分けのつかないものもある。ざら目の雪のような質のものもあれば、ガチガチの氷質のものもある。それらが造る川の水の味もまたそれぞれに違う。当たり前のことだが、氷河と一言で言っても同じ氷河はふたつと存在しない。
素晴らしい氷河を目の前にするといつも、ただただ圧倒されてしまう。口では「おーきれいやわ」「すごいなー」なんて言っているが、そんな言葉は100分の1にも達しない。氷河が持つ気の遠くなるような歴史に想像力をかきたてられ、氷河の持つ独特の躍動感に底知れぬ力強さを感じる。氷河崩落の音にドキッとし、、溶け水が造り出す川の音にホッとする。氷河を抱く岩山を仰ぎ、その存在感にあ然とすることもある。地平線へとつながる大氷河を目の当たりにして「氷河期の時代は地球は、こんな青と白の世界やったんかな」なんて思ったりもする。
氷河だけでなく視覚からの圧倒的刺激ですっかり陶酔させられることは幾度となくある。ただ、氷河に限っては、果てしなく遠い過去から続く自然の営みをなんとなく肌で感じることができる。それはまるで、タイムトリップしたかのような錯覚にまでおちいる時もある。氷河は僕に、こんな新境地を与えてくれた。
踊るように落ちるピエドラス・ブランカス氷河
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◆あぁパタゴニア[淳二筆 2005.05.08]
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