World Odyssey 地球一周旅行

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旅のアレコレ
旅の途中で感じたアレコレを、夫婦入り乱れてのコラム形式でお届けします。
「日記」には載せきれなかったネタもアレコレ登場しますヨ!





◆あぁパタゴニア[淳二筆 2005.05.08]


日本を出発する前からパタゴニアに大いなる期待を抱いていた。何に期待していたのか全く覚えていないが、漠然と「すごい何か」があると信じていたのだと思う。多くの旅行者から「パタゴニアはどうでしたか」と尋ねられるが、いつもどう答えて良いのかわからず「いやぁ期待以上に良かったですよ」というセリフでそそくさと逃げている。こんな感想ではまるで追いつけていないのが、僕のパタゴニアだ。

パタゴニアを訪れる前の「自分A」と今の「自分B」がパタゴニアをテーマに対談したら、「自分B」は何時間にもわたりこの旅行について話すことになるだろう。そしてこれからパタゴニアへ向かう「自分A」は想像力を全開に働かせ、どこまでも素晴らしいパタゴニアを思い描くのだ。「自分B」の話もいよいよクライマックス。「自分A」が「うーん、たまらん」となったところで、体験者「自分B」のとどめの一言。「想像を超える自然と言うよりは、想像を絶する自然が待っていますよ」。我ながらうまいこと言うなあと思った時には、「自分A」は失神(失禁)してしまっているのだった。

先日アフリカでキャンプをしていた夫婦と話す機会があった。「朝起きてテントを開けたら、キリンの足が目の前に……」妻談。「象の足もあったなあ……」夫談。その時僕は興奮のあまり失神(失禁)しそうになった。何の話だったかな>そうそう!!とにかく、訪れる前の自分には到底思い描くことのできなかった世界がパタゴニアには展開されていて、それは僕の全く知らない地球でもあった。(ということが言いたかった。)

では、次。そういう大自然を見た時の僕の新感覚について。以前パタゴニア一発目のトレッキングで完全にノックアウトされ、感極まってコラムにしたことがあったが、いま思えばまだまだ序の口。トレッキングをしているとどこまでも単調なトレイルから突然開けた景色が登場することがある。その時に何度か体感したことなのだが、これがスゴイ。視界が変わり、目に飛び込んでくるそういった景色はまず「衝撃」として体が受け止める。「目を疑う」という言葉があるが、そういうことなのだろう。視界からの信号があまりにも突然かつ強烈なために、すぐに脳みそに送られず、まず全身に分散させるのかどうか。いきなりその信号が脳に行ってしまったら、脳細胞が破壊されるのかどうか。仕組みはよくわからない。全身で受けたその「衝撃」は少し間をおいて溶けるようにじわりじわりと「感動」に変わる。この「衝撃」から「感動」への一連の感覚がまさに新感覚。すごい快感ですっかりやみつきになってしまった。パタゴニア旅行がここまで長くなったのは、この新感覚に溺れてしまったせいだ。まだ僕にはこういった開拓されていない感覚があるのかと思うと、その発掘にも励まなくてはならない。忙しくなりそうだ。少し焦ってしまう。

それにしても本当に天気に恵まれた。雨や雪、風に泣かされた旅行者の体験談は何度も聞いていたが、僕たちの天気の神様はいつもニコニコしていてくれた。機嫌が悪い日もあったが、勝負の日、勝負の時間には必ずほほえんでくれた。見るべき景色はすべて好天のもとに見ることができた。パタゴニアに限らず、訪れた地の印象というものは天気の善し悪しで大きく変わる。「自然現象だから仕方がない」と言っても、「トレッキング中はどうしても晴れてもらわなければ困る!」というのが本音だ。「今日だけはお願い」「明日だけはお願い」「あと1時間だけはお願い」とことあるごとにお願いをしていた。「一生のお願い」も何度か使った。幸運なことに、トレッキングに差し支える悪天候は一度も無く、限りなく天気に恵まれた。「ツイている」としか言いようがないが、本当にありがとう、神様。

なんだかんだと言っているが、今こうしてふたりとも怪我をすることもなく、無事パタゴニアを終えれたことがすべてだと思う。「日本やったら絶対立ち入り禁止区域やな」と思われるところもたくさん歩いたし、僕たちがまだまだ未熟なだけに何度となくトレイルを見失う経験もした。紙一重で僕たちは助かっているが、同じトレイルを歩いて大けがを負った人も何人か見た。自然の中を無事故で歩くにはそれなりの技術も必要だと思うが、何よりも「運」によるものが大きいと思う。不運にも悪天候に見舞われれば、当然事故の確率も高くなるし、それこそタイミング悪く頭上に石が落ちてきたら、運が悪かったとあきらめるしかない。自然の中に足を踏み入れると言うことは、そういうことなんだと思う。その世界で、ましてや厳しい気候のパタゴニアで無事旅行を終えることができたことはすごく嬉しいことだし、大きな誇りにもなった。パタゴニアからもらったたくさんの経験を大切にしていきたいと思う。と、すっかりパタゴニアをまとめてしまったが、本当に終わってしまったという切なさで今はいっぱいだ。



フィッツ・ロイ パタゴニア トレッキング
フィッツ・ロイも素敵だった




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