World Odyssey 地球一周旅行

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旅のアレコレ
旅の途中で感じたアレコレを、夫婦入り乱れてのコラム形式でお届けします。
「日記」には載せきれなかったネタもアレコレ登場しますヨ!





◆チキンバスで行こう![千尋筆 2004.11.22]


グアテマラ名物チキンバス。ロンプラの表紙にもなっている。
チキンバスと呼ぶのは外国人だけで、地元の人はカミオネータ(バスの意味)と呼んでいる。

だいたい長くて200キロ程度の都市間を結ぶ短・中距離バスで、料金はめちゃくちゃ安い。100キロ移動しても数百円、の世界だ。

車体はボロボロだ。アメリカのスクールバスのお下がりをデコトラ風に派手にアレンジし、もちろんディーゼルなのでもうもうと黒い煙を吐きながら疾走する。Blue Bird Bodyというロゴをよく見かけるのだが、たぶん、バスをデコレーションする会社なんじゃないかと思う。

チキンバスの由来はいろいろある。グアテマラの人がメルカドで鶏を買って帰るので車内で鶏がケコケコと鳴いているからだとか、あまりにもギュウギュウ押し込められて人間がまるで鶏になったみたいだ、とか。とにかく「チキン」という響きから想像できるような、雑然とした騒々しい乗り物だ。

始発から乗るとさらに騒々しい。物売りのおばちゃんがぞろぞろ乗ってくる。フルーツの切り売りに冷たいジュース、キャンディーにタマーレス。だいたいが商品名連呼タイプで「ナランハ・ナランハ・ナランハ・ナランハ・ナランハ・ナランハ・ピィーニャ〜」てな感じで車内を闊歩する。ちなみにナランハはオレンジでピーニャはパイナップルのことだ。子供も乗ってくる。だいたいがガムや新聞を売りにくる。おっちゃんになると面倒くさい。だいたいが、小脇に抱えたビジネス風バッグの中から薬の瓶や英語教習本などを取り出して、演説を始めるからだ。例えば、虫下しの薬。体内に巣くう寄生虫がいかに恐ろしいか図まで出して説明する。そして全員にいったん薬の瓶を配るのだ。200ケツアール(約3,500円)もする高い薬なのにおっちゃんの演説につられて買う人がいるんだから驚きだ。

バスが発車するころには、車内はいっぱいだ。むしろ、満員にならないと発車しないんじゃないかとさえ思う。もともとがスクールバスなので、座席は子供が3人座れるような幅しかない。それでも混んでくれば当たり前のように大の大人が3人座る。真ん中の通路も子供仕様でとても狭い。それでもギュウギュウに人が立ち、その間を縫うように車掌がお金を集めに来る。

そう、このバスには運転手(だいたいがおっちゃん)と車掌(だいたいが若手)がいる。車掌は乗客の大荷物をバスの天井にある荷台に押し上げ、発車のゴーサインを叫び、走るバスの天井をドタドタと歩いて後方へ移動し、今度はバス後ろのドアから現れお金を集めてまわる。体力のある若者でないとつとまらない仕事だ。おまけに途中から乗ってきた乗客からも料金を徴収し、降りた客の中に荷物を天井に上げた者がいないか覚えておかないといけない。記憶力も要る。

グアテマラの街と街とを移動するには、旅行会社が外国人旅行客向けに運行しているミニバス(ハイエースなどのバン)を利用するかカミオネータを利用するしかない。ミニバスはこまめに運行していて快適だが、カミオネータの10倍ほど料金がかかる。とはいえ、数千円程度なので、普通の旅行者なら払ってしまうかもしれない。

そんなカミオネータ。地元の人の重要な足なのでもちろん公共のものだろうと思う。プブリカ(公共のもの)という人もいるくらいだ。ところが、どうやらこのカミオネータ、個人所有・経営のバスらしい。ちょっとお金のあるおっちゃんが、運転手と車掌2人を雇って「おい、ちょっとバス走らせてみろよ」てなものらしい。運転手と車掌は1日の売り上げ予測を、おおまかに毎朝経営者に申請して、売り上げを折半するらしいのだ。そりゃ、乗れるだけ人を詰め込むはずだ。

それでも、日本のようなダイヤは無いけれど、定期的に節操を持ってカミオネータは運行されている。たぶん、組合か何かあるのだろう。勝手に走っているわけではなさそうだ。

個人のバスならば、スペイン語もよくわからない外国人はボラれるんじゃない?なんて思ってしまうところだ。私たちも近くの街へ出かける時にガソリン代が上がったから、とまず外国人から50センタボ(約7.5円)値上げされたことがある。

バスの中をよく見てみると、許可証のようなものが貼ってある。○○から△△まで□□〜××円で走りますよ、てな表示がしてある。この料金内なら値上がりも文句は言えない、ということらしい。もちろん、それ以上請求されたら堂々と文句を言っていいみたいだ。

もうひとつ車内に貼ってあるものがある。保険に加入しているかどうか、だ。これも加入している車は堂々と貼ってあるのでよく目立つ。微々たるものだが、少しは安心して乗れるというものだ。

カミオネータに乗るとめちゃくちゃ疲れる。移動手段として使うと、2度と乗りたくない!と思ってしまうほど、クタクタのヘロヘロになってしまう。でも、カミオネータに乗る!という目的の時は楽しい時間だ。車内にはウイピル(カラフルな民族衣装)を着たおばちゃんがたくさん乗っているし、「チーナ(中国人)だ、チーナだ」とささやく子供達と遊ぶこともできる。隣のおっちゃんとも話せるのでスペイン語の練習だってできる。

チキンバス。なかなか奥が深いです。どうです?乗ってみたくなりました?

だいたいソカロ周辺で発着しています。大きい街ならバスターミナルが郊外にあります。鶏の炭火焼きを買って乗り込んでもいいし、座ったままでフルーツや飲み物を売りに来てくれるのでそれを買って食べてもいいです。行き先は車掌がだいたい大声で叫んでいます。これもやっぱり連呼タイプで、私たちの住んでいるパナハッチェル行きなら「ぁ、パナ、パナ、パナ、パナ、パナ、パナ、パナ、パナぁ〜」てな感じです。

でも車内ではスリにご用心。この近辺だとチマルテナンゴ〜アンティグア間が危ないそうで。私たちももしかすると、帽子とナンチャンの腹巻き(その時はリュックの中だったんですが)をスラれたかもしれないんです。ちょっと疲れすぎていて記憶があいまいなんですけど。余裕があれば運転席のすぐ後ろが一番安全なようです。

グアテマラ チキンバス
▼短い間にたくさんの停留所がある時は車掌さんも待機状態。スグに降りて乗客を乗せたり、荷物を上に上げたりできるようにしています。ココはホンマに停留所なのか!てな場所もたくさんありますが、たぶん決まった場所。変なの。
グアテマラ チキンバス
▼混雑した車内にて。さらに人が増えると、この間の通路に人が立ちます。ひえーっ!
グアテマラ チキンバス
▼ロンプラの表紙のパクリを撮ってみました。何で横が切れてるねん!と淳ちゃんにダメだしくらいましたが気に入っているので勝手に採用。
グアテマラ チキンバス
▼アンティグアのバスターミナルにて。ずらり並ぶとけっこう格好よかったりして。
グアテマラ チキンバス
▼これはシェラ(ケツァルテナンゴ)のバスターミナル。煙ってますな。
グアテマラ チキンバス
▼発車前の車内。はいっ!どいた、どいたーってな感じです。
グアテマラ チキンバス
▼クロレッツごときで演説を始めるおっちゃん。おかまいなしに車内に乗り込む現地のおばちゃん。
グアテマラ チキンバス
▼そう、車内はこんなにカラフル。グアテマラって本当に布が美しいです。
グアテマラ チキンバス
▼市場には鶏のヒナが売られています。丸ごと買うと40ケツァール(約600円)ほどする鶏が、ヒナなら11ケツァール(約165円)。2ヶ月ほどで食べられるようになるそう。こんなヒナや成鶏もたまにバスでみかけます。
グアテマラ チキンバス
▼未舗装の道では爆音と共にパンク。しばらく走って平地に行くとあっという間にタイヤ交換を済ませてしまいました。慣れてますね。
グアテマラ チキンバス
▼お客が乗ったら、発車OK!車掌はまだ天井にいますが、自在に移動できるので問題なし!


◆女教師ソイラ[淳二筆 2004.11.26]
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