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旅のアレコレ
旅の途中で感じたアレコレを、夫婦入り乱れてのコラム形式でお届けします。
「日記」には載せきれなかったネタもアレコレ登場しますヨ!
◆少しのお金で豊かに暮らす?[千尋筆 2004.10.18]
サンミゲル・デ・アジェンデにはアメリカ人が多い。
生活費が安くすむので、リタイアした年金生活者が多く暮らしているのだ。
安くて新鮮な肉や野菜が手に入り、家賃も格安、おまけに知的好奇心を大いに満たしてくれる美術学校が2つもあり、英語でも生活ができる街。気候も温暖で申し分ない。
そういった街はメキシコに限らず世界あちこちにありそうだ。
「アメリカ人が目をつけた街」とでも言おうか。
そういった街は、日本人にとっても暮らしやすいことが多い。
最近日本でもよく目にする、リタイア後関連の本。
年金生活でもいい暮らしができる国、リタイア後も文化レベルを落とさず安く暮らせる街……。
実際行動に移し、移住してしまった人の体験談は、今なお関心を集めているはずだ。
リタイア組だけではない。
ちょうど私たちと同じ世代の人たちの中には(いわゆるジェネレーションXの世代かもしれない。ちょっと古いけど)、都市生活の中で得る物質的な豊かさを捨てて、まったく別の価値観で暮らしていこうとしている人もいる。彼らが選ぶのも、こういう街なのかも知れない。
友達になったアメリカ人の女性でとても印象に残っているセリフがある。
「お金はたくさん要らないし、たくさん要るような生活をしたいとも思わない。でもね、アメリカで少しのお金で暮らすのは、みじめなだけなの」
後頭部をがーんと殴られた気分だった。
次々と発売される新車はローンをやりくりしてまで欲しくない。毎年流行の変わる服だってそんなに必要ない。本当は、年収300万円以下だって十分暮らせるくらいなのだ。
でも。でも。
それを、日本でやるのはやっぱりみじめだ、と私も感じてしまう。
そんな価値観から自由になって、使いたいところにだけお金を使うことができるのが、サンミゲル・デ・アジェンデのような街なのかも知れない。
生活費を安く押さえられて、自分たちの価値観と自尊心を犯されることのない街。
高速回線で繋がれたインターネットカフェはあちこちにあるから、どんな情報だって手に入る。新車の情報や秋冬モードの情報を(一応)チェックすることはもちろんできるし、欲しいと思った本はおそらくほとんど手に入るだろう。
しかし、だ。
たくさんお金が要らない暮らし、というのは単に貨幣価値の差でしかない。
年金で得ることのできる数百万のお金。日本では少ないけれどメキシコでは十分な暮らしができる収入。
そのどれもが、ここサンミゲル・デ・アジェンデに暮らす人にとってはとんでもない金額にかわりはない。
彼らが労働で1日に得ることができる平均的な収入は500円程度だという。市民の台所であるメルカド(市場)の食堂で普通に食事をすればひとり20〜30ペソ(約200〜300円)。これでは、家計は火の車、というか空回り状態だろう。
ここで、ソカロで会った「プチ大仁田」のことを思い出す。彼に限らずアメリカ・テキサスの大都市に働きに出ている人間はとても多い。そこで稼ぎ出すお金は、たとえ肉体労働であったとしても、メキシコで得るお金とは比べものにならないだろう。おそらく、そういった出稼ぎ者が家族に1人はいて、家族全体の経済を回しているんじゃないか、と私たちは見ている。街にはドルが流通していないにも関わらずドルからペソへ換金するメキシコ人が時には行列を作っているし、こんな小さな街なのにヒューストン、ダラス、シカゴへの国際直行長距離バスが走っていたりする。需要があるのだ。
サンミゲル・デ・アジェンデはメキシコで一二を争うほど物価が高い。
街にはアメリカ人向けのレストランが並んでいる。驚くことにオーガニックフーズの専門店まである。
物価を上げてしまったのは、少ないお金で豊かな暮らしをしたかったアメリカ人、に他ならない。
友達になったアメリカンの女性が言ったことは、そのまま私の考えだった。彼女のような生き方を羨ましいとさえ思う。
だけど、この街に流れる2つの経済を、ごっちゃにしてしまってはいけない気もする。
少ないお金で豊かに暮らす。憧れるけれど、なかなか難しいことだなと思ってしまうのだ。
▼と、ゴタクを並べていますが……。
実際お邪魔した彼女たちの家のテラスからはこんな絶景が!
4つほどの部屋にテラスも付いて家賃約5万円というから驚き。
生活費の安い国はええなぁ〜と単純に羨ましくなります。
◆チキンバスで行こう![千尋筆 2004.11.22]
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