World Odyssey 地球一周旅行

この旅について
旅の日記
 INDEX
旅のルート
旅の写真
旅のアレコレ

旅に出る前に
プロフィール
旅の情報
リンク
掲示板
メールマガジン
Special Thanks!

>> TOP



旅の日記
見たもの、乗ったもの、食べたもの…たくさんの驚きを写真と一緒にお伝えします。



▼PART28 2005.02.16 サーキット126.1キロ完歩!
>>チリ・パイネ国立公園その2



さて、いよいよ6日目に入る。はっきり言ってすでに「おなかいっぱい」な気分の私たちだ。ここまで天気に恵まれ、素晴らしい景色に出会えた今、これから始まる後半戦すべてが雨だったとしても文句は言えないだろう。それほど、楽しませてもらっている。でも、今日もいい天気だ。気温は18度。さすがに昨日遊びすぎたので、早起きはできなかった。9時にグレイ湖畔をあとにする。今日の道のりは11キロ。エメラルドグリーンのペオエ湖畔にあるアカンパール・パイネグランデまで向かう。

今日の私たちもおしゃべりだ。「いやいや、昨日の氷河はよかった」だの、「Wで十分?とんでもない。サーキット最高やないか!」だの、ぺちゃくり喋りながら歩いている。このルートからはいわゆる「W」を歩く人、さらに、ペオエ湖を船で渡り日帰りハイクをしにくる人も混じってくる。ずいぶん軽くなったとはいえ、重いバックパックをどっしり担いでいる私たちとは対照的に、小さなリュックだけの人が多い。中にはスーパーのビニール袋だけという人もいる。

そしてここからは、さらに風が強くなるともいわれている。最後のグレイ氷河の景色を振り返り、振り返り歩き、Lago los Patos(ラゴ・ロス・パトス:パトス湖)を過ぎたころ、小さな谷の奥から強烈な風が降りてきた。足元がふらつくほどだ。これかぁ、パタゴニアの風は……。しんどいはずなのに、まだまだ嬉しさの方が勝ってしまう。

エメラルド色のペオエ湖すぐそばでテントが張れるかと期待して行ったが、キャンプサイトは大きな崖の下だった。風よけの意味もあるのだろう。補強を終えたテントの中からふと外を見ると、パイネ・グランデとクエルノス・デル・パイネがぴったりとテントの窓におさまっている。何て素晴らしい景色。これでは少しぐらい風が強くたって、文句が言えないなあ……。まだまだパイネの風に理解のある私である。風が強いエリア特有だといわれるUFOのような笠雲が夕陽を受けてぽこぽこ浮かんでいる。明日もきっと良い天気だろう。

そのまま何ごともなく朝がきた。キャンピング・ディクソンで味わったような「風の固まり」の襲来もなく、穏やかな朝だった。パイネ・グランデとクエルノス・デル・パイネが赤く染まっている。いつもはテントの外にぽいぽい荷物を放りだして荷造りをするのだが、今朝は念のためテントの中でパッキングをした。いよいよバックパックをテントから出そうか、とちょっと目を離したスキに、わずかに視界に入っていたテントがサッと消えた。やばいッ!

突風が吹いたのだ。振り向くとテントがひっくり返っている。補強用に淳ちゃんが繋いでくれた2本のロープのおかげで、テントが飛んでいってしまうことはなかった。トイレから出てきた淳ちゃんがこの事態に気づき、慌てて走って戻ってくる。私は、というと吹き続ける強風に刃向かい、テントが飛ばされないよう持っているだけ。一緒に舞い上がってしまうんじゃないかというほどの強風なのだ。

2人がかりでなんとかテントの体勢を立て直そうとする。重いバックパックはまだテントの中だ。でも、いま外に出してしまったらそれこそテントは傘のように風を受けて、舞い上がってしまうだろう。テントが破れないよう、慎重に慎重に元に戻そうとする。ボキッ!

いやーな音がした。これはたぶんダメな音だ。
案の定、テントの天井部分を支えるポールの継ぎ目の部分が折れてしまった。おいおい、風に強いテントじゃなかったのかよー、コレ!と嘆いてみてもしかたがない。がーっくり肩を落とす淳ちゃんを慰めながら、なんとかテントを片づけた。レンタルのテントのポールが折れてしまった2人の話は聞いていた。まさか、自分たちのテントのポールまで折れてしまうなんて……。

「いやいや、高級ペグがなかったらもっとやばかったな」淳ちゃんが言う。ペグというのはテントを固定する杭のことだが、私たちのペグはアルミ製のようですぐにぐにゃりと曲がってしまう。これでは強度ゼロだ。ところが、スチール製だろうか、カチカチでちょっとのことでは曲がらない高級ペグだと、安定感がまるで違うのだ。パイネ初日のキャンプ場から、誰かが抜き忘れて地面に刺さったままの高級ペグを見つけると、私たちは回収してストックしておいたのだった。高級ペグ、最高である。

8時、私たちは歩き始めた。パイネの風の洗礼を早速受けたと好意的に受け止めることにした。これが雨ならまたヘコみまくるところなのだが、今日も快晴。天気がいいうちにできるだけ進もう。今日7日目の目的地はフランセス谷の最奥にあるカンパメント・ブリタニコ。13.1キロ歩くことになる。

このフランセス谷。評判はものすごく良いのに、天気の評判は今ひとつだ。訪れた誰もが、雨か雪にやられている。きっとそういう場所なのだろう。私たちも覚悟して出かけることにする。どうやら一般的なルートは、フランセス谷の入り口にあたるCampamento Italiano(カンパメント・イタリアーノ:イタリアーノキャンプ場)にベースキャンプを張って、軽装で日帰り往復をするというパターンのようだ。だが、その分ブリタニコは人が少なくて気持ちがいいだろうし、何といっても朝夕の景色を満喫できるところが捨てがたい。少々大変でも私たちは荷物をかついでブリタニコまで上がることにした。イタリアーノからの標高差は400メートルほど。まあいけるだろう。

ここまでいろいろ考えていながら、実は私たち、フランセス谷だけはどうしてもイメージすることができなかった。絵はがきを見ても正直どこがそんなに素晴らしいのかわからない。地図を見ても想像がつかない。フランセス谷の展望図、なんてのを見てもどんな景色が待っているのか想像がつかなかったのだ。それでもここまで「良い!」と言われる場所なのだから絶対に行っておかなくてはいけない。行って自分で確認するしかない。

風はおさまらない。Lago Skottsberg(ラゴ・スコッツバーグ:スコッツバーグ湖)は冬の日本海のように水しぶきをあげて荒れ狂っている。その脇のトレイルを歩く私たちにも風が吹くたび水がかかる。ようやく湖を越え森の中に入ると風は少しマシになった。

水の音が聞こえる。Rio del Frances(リオ・デル・フランセス:フランセス川)だろう。森の先が明るい。

じゃじゃーん!と効果音が聞こえてきそうな登場だった。Graciar Frances(グラシアール・フランセス:フランセス氷河)だ。スコッツバーグ湖のあたりからパイネ・グランデの頂に被る雪の帽子が目に入ってはいたのだが、ここまで山全体を覆う氷河だとは知らなかった。前日トレイルで出会った日本人の男の子に「グレイ氷河を見たあとじゃあ、フランセス氷河はショボイと思いますよー」なんて言われていただけに、驚きは倍増している。これはグレイ氷河と比べる時点で間違っている……。同じ時間にこの場所を訪れた誰もが、その力強い氷河のあり様に立ちすくんでいる。ドドーン……時おり氷河が崩落する音が、雷鳴のように聞こえる。

「これは素晴らしい!」何度も叫びながら淳ちゃんは歩いている。トレイルは少しずつフランセス谷の奥へ奥へ、標高を上げながら続いている。後ろにはペオエ湖のエメラルド。この先には、どんな景色が待っているのだろうか。

いくつも小さい沢を渡り、そろそろ疲れてきたころだった。イタリアーノにテントを張ってきたピーターが「あと30分だね」と言って私たちを追い抜いていく。そこから1時間は歩いただろうか。開けた河原に出た。

行き止まりだ。

今、フランセス谷の魅力が手に取るようにわかった。山また山のパノラマなのだ。右手にはクエルノス・デル・パイネの峰々、左手にはパイネ・グランデにCastillo(カスティージョ)やCatedral(カテドラル)が並ぶ。そして前方にはピラミッドのようなAleta de Tiburon(アレタ・デ・ティブロン)やCabeza del Indio(カベサ・デル・インディオ)が立ちふさがり、「ここで行き止まり」という感じなのだ。これでは一枚の写真に収めることは無理だろう。地図をうまく読めない私たちには想像するだけの経験が足らなさすぎる。展望図でも横一列に山々を書くのが精一杯だったはずだ。

パイネ連峰のふところに入った気分だ。キャンプ場も近いだろう。もっといい展望ポイントがあるはず、と私たちは先を急ぐことにした。。

カンパメント・ブリタニコ着は15時。私たちの他にキャンプをしているのはたったひとりだった。カンパメント・イタリアーノの喧噪がウソのようだ。急いでテントを張り、少し先のミラドールへ向かう。日帰りで訪れた人たちは、そろそろ引き返してくるころだ。

ミラドールは気持ちが良かった。最初に河原で感じたあの「パイネのふところ感」がさらに強くなっている。太陽は今なお強い日差しを投げかけてくる。あまりに気持ちが良すぎて、石の上でお昼寝をしてしまったほどだ。

しばらくすると風が強くなってきたので、キャンプ場へ戻ることにした。テントはもうひとつ増えただけだった。川の音しか聞こえない静かなキャンプ場。木々の合間から、夕陽を浴びるクエルノス・デル・パイネの姿がちらちら見える。

そんなクエルノスを見ていたらがまんできなくなり、夕食のあともう一度ミラドールへ向かった。太陽の光が刻々と移り変わり山々がその度に色を変えていく。

結局、翌7日の朝も朝焼けを期待して私たちはミラドールへ登ったのだった。

いよいよ8日目が始まった。サーキットも終盤戦に入る。フランセス谷の奇跡的な好天をいまだ受け止めきれていない私たちは、妙に不安になっていた。天気が良すぎるんじゃないか……。このあと何か良くないことがおこってしまうのではないだろうか。

今日の目的地は11キロ先にあるAlberugue y Camping Los Cuernos(アルベルゲ・イ・キャンピング・ロス・クエルノス)。だが、今日も天気がいい。おまけにフランセス谷の好天おかげで体調もいい。本当は明日、最終目的地であるカンパメント・トーレスまで約20キロ歩くつもりだったが、前倒しをすることにした。今日、スタート地点にほど近いHosteria Las Torres(オステリア・ラス・トーレス:ラス・トーレス・ホテル)のキャンプ場まで歩いてしまおうというのだ。ブリタニコからは22キロ。今日天気がいいうちに頑張れば、お天気の神様も見ていてくれるかもしれない。あと2日、雨を降らせるのを待ってくれるかもしれないのだ。やはり今日歩いておこう。どちらともなく言い出した案だった。8時15分、ブリタニコをあとにする。

10時30分、イタリアーノを通過する。まあまあのスピードだ。そのまま軽く休憩し、先を急ぐ。13時。キャンピング・ロス・クエルノスに着いた。これでやっと半分。いつも昼食にしているクラッカーにいつもより多めにドゥルセ・デ・レチェ(練乳のようなもの)をかけ、おやつもいつもより多めに食べる。あと11キロ。到着は何時になるのだろう。

いつもと同じ、どんどん気温が上がっていく。淳ちゃんはタンクトップで歩いている。パイネでタンクトップで歩くなんて、誰が想像できただろうか。今日は風もないのでとにかく暑い。

ノルデンスフェールド湖を右に見ながらひたすら歩く。遠く先には湖の先端部が見える。あそこまで歩けばいいんだ。目標が見えるだけマシだと思おう。

オステリア・ラス・トーレス着は19時だった。芝生の上で靴を脱ぎ、2人ともしばらく話すことすらできない。足の裏の骨は、砕けたんじゃないかというくらい痛む。マメができなかっただけでもありがたいと思おう。長い長い1日だった。でも頑張ることができた。お天気の神様は見ていてくれただろうか。あと2日。三本塔の朝焼けを見るまで、どうか待っていてほしい。8日前に見たトーレスはそのままの姿で私たちを待っていてくれた。あとはお天気だけなのだ。

そして2月8日の朝がきた。淳ちゃんの31回目の誕生日である。テントの窓からは遠くにそびえる三本塔の真っ赤な朝焼け。今日見てしまっていいんだろうか、またもや不安になる。でも今日もお天気は良いみたいだ。早めに出かけよう。

8時スタート。昨日の足の痛みが取れないまま、いきなりだらだらと続く登りに入った。このルートは日帰りでトーレスを見て帰る人も多いので、重いバックパックを担いでのろのろ歩く私たちはどんどん軽装の人に抜かれていく。気温はどんどん上がり、かなりきつく感じる。それでも11時30分。予定どおり、トーレスに一番近いキャンプ場カンパメント・トーレスに到着することができた。

すでにトーレスの姿はトレイルの途中からちらちら見えている。ガマンできるはずもない。テントを張り終え昼食を食べると、私たちもさっそくトーレスの足元、ミラドールまで行くことにした。片道約1時間。途中からは岩をよじ登るような道だ。

目印のオレンジ色にマークされた石を追って慎重に進んでいく。ずっとその先端を見せていたトーレスの姿が、突然見えなくなった。右手にはいくつものケルンが見える。もしかして、ここが……。そう思って最後の岩を乗り越えた。

トーレスだ。

イメージそのままの姿で、いやもちろんイメージした以上の威厳ある姿でトーレスは私たちを迎えてくれた。想像以上に迫力がある。特に基部から発するパワーがものすごく強い。

やっと着いたなあ……。涙がこぼれてきた。

これまでの9日間のことを思い出す。決してつらいだけの日々ではなかったのだが、毎日毎日ほとんど限界まで歩いたのは事実だ。自分でも驚くほど頑張ってここまで来たのだ。

涙でぐしゃぐしゃになった汚い顔の私を見つけて淳ちゃんが驚いている。「泣いてるのー!ちーちゃーん!」そうだった。今日は淳ちゃんの誕生日なのだった。自分で自分に感動している前に、今日この日、淳ちゃんが生を受けたことに感謝をしなくてはいけない。お母さん、ありがとう。そして、淳ちゃんの誕生日をこんな天気で祝ってくれたお天気の神様、本当にありがとう!

またもや私が感傷的になっている間に、淳ちゃんはどこかへ行ってしまった。写真でも撮りに行ったのだろう。本当は今日、この奥のCampamento Japones(カンパメント・ハポネス:日本キャンプ場)に行ってみようかと思っていたが、延期だ。トーレスの前から動けそうにない。

トーレスが逆光になってもまだ私たちはそこにいた。ここまで来たからには、明日の朝焼けも何としても見たいものだ。初めて欲張りになった自分がいる。

そして10日目の朝がきた。4時起床である。もちろん外は真っ暗。懐中電灯のあかりだけで身支度を整える。また長居するだろうから、と朝ごはんも食べていくことにした。オートミールを慌てて飲み込む。と、雨が降ってきた。大粒だ。やっぱり、そううまくはいかないのだ……。あきらめ気分でテントに戻った。

遠くで光がちらちら見える。他のテントも起き始めたようだ。みんなあきらめがつかないのだろう。動き始めた光もある。雨の粒は少し小さくなっている。空はもう真っ暗ではない。私たちも出発することにした。

また急な岩登りだ。寒いかと思って厚着をしてきたので、汗だくになる。こんな暖かい朝でいいのだろうか。雨は止んでいる。

ふたたびトーレスのふもとにやってきた。またもや感激が襲ってくる。この朝焼けを目指して歩き続けたのだ。やっとここまでたどり着いた。自分の力でたどり着くことができた!そして、トーレスは少しずつ色をまとい始めている。朝焼けが始まったのだ。

雲が多かったせいだろう。お天気の神様が最後の力を振り絞ってくれたような朝焼けだった。3本のうち2本が焼けた。たぶん真っ赤ではなかっただろう。それでも私たちは満足だ。心から焦がれたトーレスの朝焼けを、この目で見ることができたのだ。まわりの誰もが動こうとしない。「これほどみんなが長居する展望台もめずらしいよなー」淳ちゃんが感心している。そういう淳ちゃんも、このトーレスに魅せられたひとりなのだ。朝焼けが終わって、朝の白い光がトーレスを照らし尽くすまで私たちはトーレスのふもとで時間を過ごした。

カンペキだった。天気が悪くて困ったことがひとつもなかった。これは奇跡だ。いくつものパイネの風景を、自分の胸にしまうことができた。「おれはもうおなかいっぱいやー」坂を下りながら淳ちゃんが言う。わたしだって同じだ。体のすみずみまで満足している。こんな満足感はいままで経験したことがない。

コーヒーを沸かしておやつでも食べよう、と休憩タイムを取ることにした。今日も天気が良いようなので、昨日行けなかったハポネスに行くつもりだった。ところが、コーヒーを飲んでホッとしたとたん、急速に私たちの中から何かがしぼんでしまった。モチベーションというやつだろう。フランセス谷を経験して、ハポネスがあるValle Silencio(バジェ・サイレンシオ:サイレンシオ谷)の風景の素晴らしさもイメージすることができたし、トーレスの裏側も見てみたかった。でも、もうダメだ。使い切ってしまったようだ。

「ケガするとあかんからやめとこ」やっぱり、どちらともなくこう言った。もうここには2度と来られないかもしれない。だけど、ここで欲張ったらいけない気がする。今回はここで終わりにしておこう。それでいい。ありがとう、パイネ。

どうやら私たちお疲れのようだしね、と、それから2時間も昼寝をして、私たちは山を下りた。本当に、ただ疲れていただけだったのかもしれない。

ケガもなく、私たちは一昨日泊まったオステリア・ラス・トーレスに戻ってきた。ついにサーキット終了。総歩行距離は126.1キロだった。好天で私たちを迎えてくれたパイネの峰々を見わたし、私たちはもう一度お礼を言った。「ありがとう、パイネ」





▼トレッキング覚え書き

・Cirucuit Grande

2/5 18度 晴
Albergue y Campamento Gray → Refugio y Area de Acampar Paine Grande 11キロ
(ひとり3,500ペソ[約700円])

2/6 22度 晴
Refugio y Area de Acampar Paine Grande → Campamento Britanico 13.1キロ
(無料)

2/7 28度 晴
Campamento Britanico → Hosteri'a Las Torres 22キロ
(ひとり3,500ペソ[約700円])

2/8 30度 晴
Hosteri'a Las Torres → Campament Torres 10キロ
(無料)

2/9 21度 雨→晴
Campament Torres → AHosteri'a Las Torres 10キロ
(ひとり3,500ペソ[約700円])






 
チリ パタゴニア パイネ国立公園 グレイ湖
いよいよグレイ湖ともお別れです。青い氷の固まりが湖の端っこにたまっています。ここから進路を左にとり、ペオエ湖畔へ向かいます。

 
チリ パタゴニア パイネ国立公園 ペオエ湖
グレイ湖とは対照的にエメラルド色をしたペオエ湖。バス発着場とを結ぶカタマランが運行されているので日帰りの観光客も多い場所です。後ろにはクエルノス・デル・パイネ。絵のような光景ですね。キャンプ場近くのミラドールから。

 
チリ パタゴニア パイネ国立公園
アカンパール・パイネ・グランデに張った私たちのテント。手前でピンクに染まっている山がパイネ・グランデです。この奥にあるクエルノス・デル・パイネとセットでテントの中から見ることができます。

 
チリ パタゴニア パイネ国立公園
パイネ・グランデのふもとをまわりこむようにフランセス谷へ向かうところ。

 
チリ パタゴニア フランセス氷河
そしてあらわれたフランセス氷河。荘厳。山の南側斜面をすべて使ったようなダイナミックな氷河です。

 
チリ パタゴニア パイネ国立公園 アイス・キャップ
その頂にあるのがアイス・キャップ(氷帽)という現象。超強風の中にある水蒸気が直接山の岩々を凍らせることできる光景のようで亜極地の高山によく見られるそうです。パイネとは地元Tehuelche族(彼らを含めパタゴニアの先住民達はスペイン人の入植からわずか100年ほどで絶えてしまったらしい)の言葉で「青い」という意味からきている(正確にはピエ・ネエと発音するようですが)という説もあるそうですが、なるほど、青い山です。氷河の青とはまたちょっと違った爽やかな青をしています。

 
チリ パタゴニア パイネ国立公園 ペロス氷河
ずいぶん登ってきました。私の後方にはクエルノス・デル・パイネが控えています。これがちょうど谷東側にあたります。いい天気です。

 
チリ パタゴニア パイネ国立公園 フランセス氷河
イタリアーノにテントを張って日帰りしていた「のっぽ」さんと再会。彼は最初にトーレスを見てからサーキットに入ったのでここでお別れ。記念にフランセス氷河をバックに写真を撮りました。いつもはフェルトでできたチューリップ帽を被っていたのでのっぽさんだったのですが、帽子をとると別人に変身。

 
チリ パタゴニア パイネ国立公園 トレッキング
河原に出たところです。クエルノス・デル・パイネに見下ろされているよう。この辺りは基本的に花崗岩でできた山々なのですが、クエルノス・デル・パイネのてっぺんにある黒い部分(チョコレートをかけたようですね)はさらに古い世代の頁岩(泥板岩)というのだそう。

 
チリ パタゴニア パイネ国立公園 トレッキング
ミラドールにてお昼寝中。ちょうどフランセス谷北側、行き止まりの部分にあたる場所です。右手奥にはカベサ・デル・インディオも写っています。ホント、気持ちいい場所でした。

 
チリ パタゴニア パイネ国立公園 フランセス谷
そのミラドールの石の上に座るとこんな景色。ちょうど西側を望むことになります。こうやって三方を山々に囲まれたフランセス谷の魅力、私たちもそこに立ってみて初めてわかりました。

 
チリ パタゴニア パイネ国立公園 トレッキング
8日目。本当なら石の上をひょいひょい渡るだけですみそうな箇所なのですが、川が増水して靴を脱がずには渡れませんでした。これは雨が降ったのでなく、おそらく天気が良すぎて氷河がたくさん溶けてしまったため。水が3秒で頭までキンキン痛くなるほど冷たいです。渡りきったあとはしばらく動けません。

 
チリ パタゴニア パイネ国立公園
20キロは歩いただろうか、という場所。すでに気が遠くなっている感じ。オステリア・ラス・トーレスって見えてからも長いんですよ。つらかった。

 
チリ パタゴニア パイネ国立公園 トレッキング
そして、淳ちゃんの誕生日を迎えた朝。美しい朝焼けに出会いました。奥に染まっているのがトーレス。手前の雪を被っている山はPaine Chico(パイネ・チコ)と言います。

 
チリ パタゴニア パイネ国立公園 トレッキング
そしていよいよ9日目。トーレスのふもとまで向かいます。だらだらと長い坂を登り、アスセンシオ谷を見渡すポイントまで上がってきたところ。この谷の左側斜面を進みます。2色に見える屏風状の山の左にトーレスが隠れています。

 
チリ パタゴニア パイネ国立公園
そしてついにたどり着いたトーレス!!本で見たとおりの景色です。

 
チリ パタゴニア パイネ国立公園 トーレス
トーレスに見とれる淳ちゃん。このトーレス、個性が強すぎて、あまり写真にバリエーションを持たせられないのが難点と言えば難点。左右の斜面はいまだに大きな落石がひんぱんにおこっているのであまり近づくこともできません。

 
チリ パタゴニア パイネ国立公園 トーレス
満足して下山するところ。トーレスの手前はこんな険しい岩場なんです。しかもこの石デカっ!右に移っている私はちんちくりんですね。

 
チリ パタゴニア パイネ国立公園 トーレス
最終イベント、トーレスの朝焼け。何とか右2本、焼けてくれました。美しい。

 
チリ パタゴニア パイネ国立公園 トーレス
朝焼けが終わって、トーレスが白く光り出してもなかなか離れることができませんでした。

 
チリ パタゴニア パイネ国立公園
10日間のトレッキングは終わりましたが、出発前にケンくんがアドバイスしてくれたように、パイネの峰々を遠望するため、もう1泊することにしました。後半戦でパスタとスープをケチって使ってなんとかもう1食分ひねり出すことができたので、食料はやっぱり無補給のまま。絵はがきやガイドブックなどパイネ国立公園を象徴的に1枚現す時にはこの方角から撮っているようですね。さらに近づくミラドールもありましたが私たちは途中で引き返し、湖とセットになるポイントでゆっくり最後のパイネ連峰を楽しみました。




▼PART29 2005.03.18 氷に彩られた大地・パタゴニア〜アルゼンチン ロス・グラシアレス国立公園
?Back